CMSでサイトを構築する場合、デザインの考えかたは大きく2つある。
1つは、CMSで*用意されたテーマやテンプレートを元にカスタマイズ*していく方法。もう1つは、デザインは先に完成させて後からCMSを実装していく方法。
今のCMSはデザインの自由度が高いものが多いので、オリジナルで自由にデザインしてから実装することもできる。以前はデザインの自由度が低いものもあったので、その場合はテンプレートを部分部分でカスタマイズする方法しかなかった。
楽天サイトやアメブロのサイトのカスタマイズなども、このテンプレートを元にカスタマイズという感じだろうか。Tumblrなどもテンプレートからというのが多いだろう。その中で、どこまでできるかという勝負になる。
逆にMovable Typeでは、後者が多い。というのも、用意されたテンプレートが少ないということもある。テーマなどが多いWordPressでは、前者の方が多いだろうか?
先日、勉強会で聞いた話では、WordPressの公式ディレクトリだけで3,000以上のテーマがあるらしいではないか。公式ディレクトリ以外で配布されているものも合わせたらすごい数だ。
一方、Movable Typeの公式のディレクトリを見てみると、テーマは10個もないかな...。
テーマやテンプレートを元にカスタマイズ
私自身は、デザインをしないので、最初に個人ブログなどを始めた時は、テーマやテンプレートを元にカスタマイズする方法だった。今でも一人でサイトを作るとなると、テーマなどを元に作っていく。利点は、早く構築できることと、デザインができなくても始められることだ。
この場合、CMSもテーマやテンプレートの多いものが良いだろう。今では、無料で配布されているテーマも多く、有料で質の高いものもある。スピード重視で、とにかく公開したいという場合はオススメだ。制作コストもこちらの方が安い。個人サイトや小規模サイトでは十分だろう。
一方、マイナス面もある。
当然、テーマやテンプレートは汎用的に作成されているので、デザイン的な融通が効かない場合がある。細かくカスタマイズしていくと、オリジナルでデザインをしていくのと変わらない工数がかかったり、ときには元があるために自由にできない場合がでてくることもある。
また、元があるからコストが抑えられると期待したものの、複雑な機能や構造をしたサイトの場合は、プログラムのレベルでのカスタマイズが必要となり、合わせてデザイン部分のカスタマイズも出てくるので、コストが予想以上に膨らむことがある。プラグインとして機能が配布されている場合もあるので、プラグインで解決できる場合もあるが、デザイン面で細かなカスタマイズができるかどうかはプラグイン次第かもしれない。
テーマによっては、デザイン的な制約があったり、どうしても元のデザインに依存されるため、会社の場合は自社の強みを表現しにくいなどのデメリットもあるかもしれない。ただし、他業者とまったく違ったデザインがメリットになるかといえば、そうとも限らないので、ここは微妙なところだ。
ただ、ユーザーにとってどういうサイトがいいか、ではなくテンプレートとして作りやすいものを作ってしまうことがあるので注意しなくてはいけない。
オリジナルデザインでCMSを構築していく
Whizzo Productionがサイト制作を請け負う時は、ほとんどがオリジナルでデザインをしていくパターンだ。個人のサイトではテンプレートから作るが、クライアントに納入するときにはしない。デザイナーと一緒にオリジナルでデザインをしていく。
Whizzo Productionでは、CMSとしてMovable Typeをよく使うが、オリジナルでのデザインをすることが多いのでMovable Typeのテーマの少なさは問題にならない。
デザイナーによっては、元のテーマなどがありきでのデザインに慣れている人もいるが、私自身はデザイナーにはCMSのことは気にせずにデザインしてもらうようにしている。もちろん、実装段階で、多少の調整をすることはあるが(ナビゲーションの横幅のピクセルを統一しようとか)、最初からCMSのテーマありきにはしたくない。
オリジナルでデザイナーに一から作ってもらうので、制作コストも制作期間も延びてしまう。そこはデメリットと言える。
しかし、ゼロベースで自社の強みに向き合い、どういうウェブサイトが使いやすいかなどをCMSのテーマや機能に縛られずに考えやすい。あくまでCMSは運用していくためのツールなので、スタートには必要ないのだ。
ただし、奇をてらったデザインが使いやすいデザインかといえば、そうとも限らないので、結果としてテーマに似たようなものになることはある。しかし、テーマからスタートするかゼロからスタートして結果としてそうなるかでは違うのではないかと思っている。どうしてもテーマから入ると、ここまでやるとカスタマイズしにくくなるかな、などとセーブする場面で出てきてしまうので最初から可能性を狭めてしまいがちだ。
2つの方法を使い分ける
この2つの方法は、どちらが優れているとか、どちらが良いとかいうものではない。オーダーメイドのスーツか既製品か、家を建築士に頼んで設計してもらうところから作るか、建て売りにするかという違いだ。使い分ければいい。
Whizzo Productionとしても、どちらでも対応することができる。ただ、テーマを元にカスタマイズすることは、頑張ればプロじゃなくてもできるので、せっかくなのでオリジナルでデザインしていくほうで頼んで欲しい。そのほうが、こちらも面白い。
テーマからのカスタマイズの仕方は、逆に仕事以外の時間でお教えします。ときおり、名古屋駅近くのコワーキングスペースにいるので、その辺りででも。