先日書いた通り、Movable Type 6の発表と同時にオープンソース版のMTOSを提供終了するという発表があった。(Movable Type 6 の新しいライセンスについて)
これについては、オープンソース版があまり上手く活用できていないなという印象があったため、意外ではなかったが、やや唐突な印象だった。その証拠に、Movable Typeのコアなユーザーや開発者では議論になっている。コアなユーザーだけで、大きなニュースになっているわけではないのは悲しいところだが。
もちろん、個人無償版が残っているのは承知している。しかし、仕事として使う開発者が育つためにも無償で使うことができるオープンソース版の存在は重要だと現場は考えているわけだ。特に、地方のサイト制作者に取っては、Webサイトの制作費がまともな金額を取れるものばかりではない。最初からWordPressなどのオープンソースを前提に見積り依頼があることもある。
特に、今回はライセンス費が抑えられるユーザー数限定版もなくなるということだ。自分自身、今後はWordPressを扱うことが多くなるだろうとか、過去に使ったDrupal、Concrete 5、Nucleus CMS、Soy CMSなどのオープンソースを見直したり、最近Lite版の提供を始めたa-blog CMSなどを見たりして、提案できるように準備している。
オープンソース版が、通常のライセンス版との兼ね合いで扱いづらいのも理解できなくはないが、いままで協力的だった制作者たちがこうして反感を強く持っているという現状を見ると、提供停止の判断は仕方がないとしても、その発表の仕方や説明不足なところは失敗だったと言わざる得ない。過去にライセンスを厳しくして開発者から反感を買った経験が生かされていないのではないかと思ってしまう。
Movable Typeはプログラム言語に詳しくない制作者でも扱いやすいツールだ。逆に、プログラム言語に詳しいユーザーはすでに離れていってしまっているようにも感じる。その上で、プログラム言語に強くはないが、非常に好意を持って使っている制作者までも離れていくのではないかと危惧してしまう。
制作者たちからは、無償で使えなくなることの不満よりも、ライトなユーザーや制作者が使うハードルが上がってしまうことで、Movable Type独特のタグ等を扱う「MTがわかる制作者」の減少を本気で心配して憂いている。みな、タダで使いたいというだけではなく、Movable Typeという製品が長く存続することを望み、心配しているのは嬉しくも思いつつ、こういう制作者たちが反感を持つような流れになってしまったことは残念に思う。
また、オープンソース版を無くすからといって、Movable Typeが閉鎖的になってしまうかというと、必ずしもそういうわけではないようだ。Movable Type 6から実装されるData API と Chart API のJavaScriptライブラリーや「Loupe」というアプリケーションはより緩やかなオープンソースライセンスである「MITライセンス」で提供するという。
このあたり、どのような意図があるのか、どのような展開を期待するのか等を直接聞いてみたいということもあり、8/3(土)に行われる開発者をデザイナー向けのカンファレンス(8月3日(土)MTDDC 2013(Movable Type Developers & Designers Conference 2013)を開催します)に参加する予定だ。この時に詳しい話が聞ければと思う。
なお、ただ参加するのも面白くないので、5分間だけプレゼンするライトニングトークにも応募してみて、抽選だったらしいが受かってしまった。場所はMicrosoft本社らしいのだが、Mac持ち込みで参戦予定。