離婚の不幸は、母親(女)が子供を引き取る。貧乏の不幸は男親が子供を引き取る。そして貧乏は家族をバラバラにする。離婚より、貧乏の方がはるかに不幸。

父親が家族のために仕事を探すというのは、実は不幸そのものの事態だ。

子供が不幸を何も感じることなく眠りにつくとき、父親は誰にも知られないまま孤独に涙を流す。家庭の幸せは、父親の孤独を浮かび上がらせる。

久しぶりの自宅鑑賞映画批評です。DVDレンタルとBSハイビジョン(WOWOW)放映中心です。今回は80点以上の映画はありませんでした。


●『リトル・ミス・サンシャイン』(2006年) ― この映画は世評ほどには好きになれない
映画的ではない。随所にメッセージ性やメッセージを持ったこれみよがしな映像が前面化し、本来の意味で映画的ではない。

だからほどほどには感激するが(ついでに涙も少しは出るが)、でもなぁ、という感じか。家族をめぐる感動のドラマと言うほどではない。70点。


●『ボビー』(2006年) ― デミームーアとシャロンストーンのシーン!
この映画は評価が難しい。見方によっては、終盤へ至る80%までの“前半”がつまらないと言えばつまらない。最後の事実があるから我慢してみられるが、それがなければたぶん見ないだろう。

ただし配役陣は、何でこんな人がと言うほど大物揃い。しかも女優人がみんな美しい。デミームーアとシャロンストーンの掛け合いのシーンは、この映画の一つの山だが、私は最後までシャロンストーンかどうか分からなかった(情けない)。ただそれでも「うまいなぁ、この女優」という感じだった。このシーンを見るだけでも価値はある。68点。


●『ドレスデン、運命の日』(2006年) ― どれをとっても中途半端
なんだかなぁ。戦争映画でもなければ恋愛映画でもない。どちらかだとすると、どちらだとしても中途半端。映像も当時の実写フィルムとの質感の連続性を保持しようとするために、解像度も彩度もひどいものだ。史実としても中途半端だし…。70点。


●『デジャヴ』(2006年) ― 古典的なタイムマシン映画なのだが…
よくよく考えてみれば、単なる古典的なタイムマシン物語にすぎないのに、ここまでもっともそうに見せられるとそれはそれで納得する。トニースコットの腕かも知れない。

音楽も良かったが、最終盤ではなぜかなりを潜める。ラストシーンについては「つじつまが合わない」と言って批判する向きがあるが、もともとつじつまの合わない話なのだからそこを攻めてもしようがない。おもしろければいいいではないか。72点。


●『リベンジ』(1990年) ― ケビンコスナーがマデリーンストーを口説くためだけの映画
前半の展開と後半の展開のスピードが異なる。いつものケビンコスナーものと思って見ると前半は退屈この上ない。後半は盛り上がるが、それは前半の抑えた調子が効を奏しているのかもしれない。

しかしこの映画よくよく考えると、ケビンコスナーが人妻マデリーン・ストーを本気で口説きにかかっていると言えなくもない。その成果がこの映画か、その動機がこの映画か、よくわからないが、たぶん、この映画はケビンコスナーの私的な映画なのだ。観客不在と言ってもよいのかもしれない。こういった私的映画は、でもよくある(松方弘樹やロバートデニーロのように)。俳優っていいですね(苦笑)。70点。


●『みえない雲』(2006年)― こんな映画で原発問題を語る奴はバカだ
ドイツの若いカップルの、アメリカ映画とは明らかに異なるキスシーンがとても新鮮だった。70点。


●『トリスタンとイゾルデ』(2006年) ― 内容と映像が一致していない
映像は歴史物ふうなのだが、内容は悲恋もの。マッチしていない。それに脇役人が大物すぎて内容的な集中度にかける。68点。


●『プリティ・ブライド』 (1999年)― こんな映画、見てられない
こんな映画、ジュリアロバーツファン以外見てられないだろう(私も嫌いではないが)。少なくとも35才以上の“大人”は見てられない。

美しい人はいつでも不幸だが、こんな映画をわざわざ作ってもらうこと自体がさらに不幸だ。

28才くらいからこんな映画を見て「素敵!」なんていっている女性はいつまで経っても結婚できない。62点。


●『幸せのちから』(2006年) ― 家族の幸せは父親の孤独の上に成り立っている
離婚の不幸は、母親(女)が子供を引き取る。貧乏の不幸は男親が子供を引き取る。そして貧乏は家族をバラバラにする。離婚より、貧乏の方がはるかに不幸。

父親が家族のために仕事を探すというのは、実は不幸そのものの事態だ。

子供が不幸を何も感じることなく眠りにつくとき、父親は誰にも知られないまま孤独に涙を流す。家庭の幸せは、父親の孤独を浮かび上がらせる。

そんなことを考えさせる映画。しかし「幸せのちから」というタイトルはヘンだ。70点。


●『ワールド・トレード・センター』(2006年) ― 事実は小説よりも奇なり
あの悲惨な9.11の実話映画など、まともみに見ることなど普通はできない。二つのビルのどちらもが他のビルまで巻き込んで全壊するといい結末を知っているから、なおさらのことだ。

それに、主演がニコラスケイジ。幸せそうなときでも不幸な顔をしている、泣きっ面に蜂のようなニコラスケイジが主演だと聞いて余計に見る気がしなかった(それゆえに、はまり役だったと言えるが)。

そんなこんなで長い間この映画だけは見る気が起こらなかったが、いくつか取りだめしていた映画がことごとくつまらなかったので、仕方なく見ることになった。

ところが、この映画、世評ほどは悪くはない。特によかったのは、クレイグ・アームストロングの音楽。実話の重さを反映したかのような抑制した音楽が全編を目立たない仕方で被って“事実”を伝えるのにふさわしい仕上がりになっている。

オリバーストーンの映画は軽薄な正義感が鼻についていつも幻滅させられるが、今回はクレイグ・アームストロングの音楽でかなり助けられている。

この映画を見て思うのは、助けられた人の生命力(=精神力)もさることながら、助ける人の勇気。本来なら見たくも近づきたくもない惨状に果敢に向かう人たちの活動や心理を後半のわずかな時間ではあったがうまく伝えていた。単調になりがちな救出劇に少しばかりの厚みが出た瞬間だった。

それにしてもマイケルシャノン演じるカーンズ海兵隊軍曹の存在は、いったい何だったのか。この人物までもが「実話」の人物らしい。「事実は小説より奇なり」だ。78点。


●『ニュー・ワールド』(2005年)
まず、脚本がよくない。流れをつかむだけでも至難の業。それに解説っぽいメッセージがそのまま出てくるのも興ざめ。実話映画の悪いところばかりが目に付く。映像(カメラ)も、素材がいいにもかかわらず今ひとつ。音楽はさらによくない。なぜ、コリンファレルは、こんな映画に出たのか。45点。


●『グエムル -漢江の怪物-』(2006年)
ポン・ジュノは私の好きな監督の1人だが、「アメリカ帝国主義」に60年代の火炎瓶闘争で戦う映画だった。この映画の意味は、若い年代にはわかるまい。76点。


●『トンマッコルへようこそ』(2005年)
この映画は、韓国版の宮崎駿映画。しかも良質な部類だ。宮崎映画が好きな人には十二分に楽しめる。

久石譲が音楽を担当しているが、騒がれているほどには良くはない。でも映像もキレイし、脚本も悪くはない。おすすめします。78点。


●『ゾディアック』(2006年)
前半が退屈だが(事実を追いすぎ)、後半から終わらないで欲しいと思うくらいに盛り上がる、悪くはない作品だ。単なる殺人事件の犯人捜しというだけでもなく、それなりに事件に関わった人間達の表情も描けていた。独特な風情がある。さすが、デヴィッド・フィンチャー。80点。


●『あるいは裏切りという名の犬』(2004年)
アメリカ映画に毒されているせいか、フランス映画には入り込めないところがある。この映画もその典型。

特に景色も音楽も(そして俳優までもが)美しいのだが、ストリーがそれに付いていけない。音楽と風景だけを見ていたようなものだ。音楽と風景が盛り上がれば盛り上がるほど、そんな中身の映画だっけ? と白けてしまう。

それに銃撃シーンもさすがにハリウッド映画ほどの衝撃はない。“ハリウッドの”警察や刑事に比べれば、はるかに貧相。カメラも慣れていない。

ヨーロッパは、やはり遠い。68点。


●『カオス』(2005年) ― 音楽がサイコー!
ストリーも悪くはないが、トレバージョーンズの音楽がサイコー。音楽を聴いているだけで楽しい。80点。


●『世界最速のインディアン』(2005年) ― アンソニーホプキンスのはまり役
アンソニーホプキンスなしには考えられないほどにはまり役。この人の映画は『QB7』(テレビ映画)以来、印象的な映画が多かったが、この映画は、QB7以来のはまり役だった。文句なしに楽しめる。80点。


●『運命の女』(2002年) ― ダイアンレインがたまらない
ダイアンレインファンには色々な意味でたまらない映画でしょう。オリヴィエ・マルティネスの敵役がまたぴったりで、余計にたまらない映画になっている。リチャードギアが何のために出てきたのか、わからないくらいいい映画になっている。75点。


●『テキサス・チェーンソー』(2003年) ― 質の高いホラー映画(ホラー映画を超えている)
私はホラー映画好きではないが、この映画は二度と見たくないほどに怖い。内容そのものが怖い。監督マーカス・ニスペルは大したものだ。ポン・ジュノの『殺人の追憶』以来の怖い映画だった。80点。


●『ポワゾン』(2001年) ― 監督が女優を愛している
美しい女性は何をしても許されるということか。監督自身がアンジェリーナジョリーを好きじゃないと撮れない映画だった、と思う。70点。


●『バベル』→http://www.ashida.info/blog/2008/03/post_276.html
●『ロレンツォのオイル』→http://www.ashida.info/blog/2008/03/post_273.html
●『バンド・オブ・ブラザーズ』→http://www.ashida.info/blog/2008/02/post_262.html

(Version 3.1)


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