iPadは、なぜ売れないのか。ひょんなことから発売前のiPadを手に入れて2日間使った私の感想をレポートする。
開封直後のiPadについては→ http://picasaweb.google.co.jp/ashidahironao/IPad#
現在のユーザーコンピューティングの(ハードの)方向性は二つある。
一つは、高解像度モニタか、マルチモニタ化。
もう一つは、身体感覚のモバイル。
どちらもに共通するのは、快適な入力(+GUI)と高速処理。
前者は、デスクトップ型PCかハイパワーモバイルPC。
後者は、iPhone 3GSが代表格。クラウドコンピューティング派はiPhone 3GS派を端末主義者と言ってバカにするが、それは間違い。携帯電話は最終的には身体同化。端末の在り方がクラウド化の鍵を握ってる。それがわかってないのがAndroid陣営。
さてモバイルPCは、ネットパソコンの敗北でわかったように、解像度が低く処理能力が落ちるPCは使い物にならないということ。そのうえ、ネットパソコンくらいの大きさや重さなら、ハイパワーノートPCのVAIO Type Zでも充分持ち歩けるということ(http://www.ashida.info/blog/2009/12/post_391.html)。
現状のユーザーは、デスクトップPCとiPhone 3GS、その中間を埋めるハイパワーモバイルPC(レッツノートやVAIO Type T or Z)でとりあえず満足している。
そこにiPadがでてきた。
大きさ重さは小さめのネットパソコンなみ。重さは680g(Wi-Fiモデル)、730g(Wi-Fi + 3Gモデル)、242.8mm×189.7mm×
薄さ(13.4m)と重さ(680g)は特筆されるが、しかしキーボードがないと思えば、こんなものかなとも思う。
ソフトキーは打ちやすいが、iPhone 3GSよりも進化しているのは句読点が切替なしに入力できること。
縦置きだとタッチタイピングができるかどうかは、微妙だが、横(辺の長い方を上下)に置けばレッツトートのRサイズとほぼ同じ。なんとかタッチタイピングができる。
問題は、このiPadの置き方だ。基本的に両手で持つしかない。机の上で使うなら、わざわざ、机に上に立てるのに面倒なiPadを使う意味はない。デスクトップPCかハイパワーノートPCで充分。キーボードもわざわざソフトキーを使う意味はない。
自宅や会社なら、PCはすぐに立ち上がるモードになっているのだから、立ち上がりのスピードを気にする必要もない。
そこで、このiPadを使う場合、膝の上で両手を使って持ちながら、両方の親指でソフトキーを打つことになる。これこそ、文字通りの「ラップトップ」パソコン。
iPhone 3GSよりはるかに正確に早く打てるが、だからといってそれがどうした、という感じか。
この両手持ちの場合、700グラム前後のiPadは、決して軽くはない。私が最初にこのiPadを持って感じたことは「重い」ということだった。携帯電話を入力中に(片手ですら)重いと感じることはまずないが、iPadの700グラムは両手で持っても重い。とても長時間の入力には耐えられないだろう。
かといって、机上設置用のドックを買い、 別売りキーボードを買うくらいなら、iPadの機動性は半減し、モバイルPCとどこが違う? ということになる。
結局、iPadを評価するには、iPhone 3GSと何が違うのか、という点だ。
私には、その点で、特にiPhone 3GSよりも必要で新しい用途を切り開いてるとは思えない(特定の商業用途は別にして)。
たしかにiPhone 3GSを愛用しているユーザーは、この画面の解像度と薄さに最初魅入るだろうが、それも最初だけ。しばらく使い始めると、iPhone 3GSで充分と言い始めるに違いない。iPadにキーボードを付けるくらいなら、それをiPhone 3GSに付ければいいだけのこと。特に入力で問題になることはない。むしろ片手で入力できるiPhone の方に軍配を上げるユーザーも多いに違いない。
片手パソコンとしてのiPhone 3GSの意義は大きいのだ。
かつ、電話もカメラ機能もiPadにはないから、自宅内でもiPhone 3GSとiPadは必ず並行して持ち歩かなければならない。これも邪魔くさいことだ。カメラがなければ少なくともtwitter利用をiPadで代替わりできない。電話ができないという不満は我慢できてもカメラ機能がないのはつらい。twitterが自立的に自由にできないは決定的な欠陥だ。
モバイル派は、自宅にいても(PCを使わず)携帯電話をいじくってる。特にベッドインしてからの用途が多いらしい。その場合でもiPadは中途半端。手で支えるにはやはり重すぎるのだ。寝ながら使うというのはiPadの場合難しい。
もう一つの違和感が在る。それはこれほどの大きさのものを充電して使うということだ。
まず、ノートPCのような電源ケーブル付き利用はとても違和感が在る。機動性と逆だから。かといって、電子辞書のような乾電池利用に耐えるわけではない。携帯電話のようにコンパクトではないから、充電ドックに置くという感覚は少し違和感がある。
一方でノートPC比較でコンパクトで使いやすいと言われながらも、実践的には携帯電話(特にはiPhone 3GS)と比較すべき商品。そうなるとこの大きさと重さは、つらい。この半分の大きさと重さでも良かったような気がする。
特にそう思うのは、(飛行機・新幹線内などで)セカンドバッグを想定した場合(あるいは散歩に携行するような小さなバッグを持ち歩く場合)。このiPadの大きさはセカンドバッグには大きい。ポーチにはむろん入らない。今日も自宅内の小さめのバッグを全て取り出して入れようとしたが入らない。結局そこそこのノートPCが入るバッグを持ってないと携行できない。それならノートPCを持ち歩いた方がまし、ということになる。
いったい、どこで使えばいいんだ、このiPadは。
たしかにブラウジングだけなら、この縦横変換できる画面は無敵で1000の解像度だけでもUXGAモニタに匹敵できる実践性があるが(これはiPadの「コロンブスの卵」並みの機能!)、最近のネット利用は二次利用、三次利用を想定してるから、やはり、不充分さが残る。
私はこれからのPC新製品は、携行できるハイパワーなノートPC(1.3キロ以下)とiPhone 3GSのどちらかが不要になる状態にならないと「大流行」はあり得ないと思う。「第三の道」はありえない。その意味で、このiPadは使いものにならない。このiPadはiPhoneが切り開いた地平をアップル社自らが過小評価しすぎた結果出て来た商品にすぎない。
皮肉なことに、このiPadは、iPhone 3GSユーザーでないPCユーザーが飛びつくかもしれない。なんだかなぁ。
そもそも携帯定額の月額4000円にプラスしてさらにiPadの通信定額3000円の通信料(Wi-FiではiPadの特長ある使い勝手は見込めない)を払える人がどこにいるというのだ。貧乏人はますます貧乏に、学生はますます本を買わないままバカになるだけ。 騒いでいるのは中途半端な金持ちか、月収の2割も通信費に毎月使うバカな若者だけだ。
【結論】非デスク系コンピューティング市場を開拓するアップル社には敬意を表明。ただしその割には大きさと重さが問題。秋にはこのiPadのほぼ半分の大きさ・重さの新製品が出るとのこと。今月末発売のiPadには手を出さず、秋のiPadに期待しましょう。安いからと言って、今購入すると、肝心の「秋iPad」を買えなくなります。ネットパソコンの通信料が残ってるだけでiPadを買えない人がたくさんいるのですから。そんな後悔をしないように。今騒いでいる連中は、自分の用途をイメージできない単なる新製品好きです。
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